第2シーズンの初回で消えたのは、黒須ひとりではなかった。前作で乃木とともにテントへ潜入した別班員5人が、国内外でほぼ同時に連れ去られた。放送直後は新庄の名に目を奪われたが、手掛かりを拾い直すと、5人を生け捕りにした理由のほうが気になってくる。
この回の要点
- 拉致された5人には、前作のテント潜入作戦に参加したという明確な共通点がある。
- 移送先がアール山を囲むように散っている以上、単なる逃走経路ではなく、乃木たちに解かせるための配置だった疑いが残る。
- 放送直後はベキ生存説、新庄関与説、アリ共犯説、黒須の意図的潜入説まで広がったが、根拠の強さには大きな差があった。
- 新庄が前作でベキの逃走を手伝ったことは判明したが、銃撃後のベキの生死と、5人拉致の命令者はまだ伏せられている。
初回が壊したのは、別班の安全神話だった
赤い饅頭による緊急招集の直後、乃木が向き合ったのは新任務ではなく、仲間が消えたという報告だった。国内の別々の病院にいた熊谷、高田、廣瀬、和田。そしてバルカに残っていた黒須。居場所も警戒状況も違う5人が、ほぼ同じ時期に連れ去られた。少なくとも、偶然が重なっただけとは考えにくい。
ここで怖いのは、敵の戦闘力より情報の深さだ。療養先を知り、黒須の生活圏を把握し、複数国へ運ぶ段取りまで組んでいる。別班は存在を隠す側だったはずなのに、今回は所属だけでなく療養先や生活圏まで把握される側へ回った。第2シーズンは『秘密がもう秘密ではない』という危機から始まった。
アール山を囲む5地点は、逃走ではなくメッセージか
太田が追跡情報から割り出した移送先は、アゼルバイジャン、キプロス、ジョージア、イスラエル、トルクメニスタン方面へ散っていた。それぞれがアール山を中心とする圏内に収まるという解析は、地理情報であると同時に、救出側へ残された手掛かりにも見える。完全に足取りを消したいなら、五つの点に共通する形を残す必要はない。
もちろん、敵が意図して円を描いたとは限らない。航空路や協力者の拠点を重ねた結果かもしれないし、捜査を分散させるためだけの配置かもしれない。それでも、乃木たちが共通点に気づくところまで含めて敵の計画だったなら、拉致の目的は排除ではなく誘導になる。誰を、どこへ、何のために呼んでいるのか。第11話最大の問いは犯人当てよりこちらだ。
放送翌日に膨らんだ説を、同じ重さで扱わない
最も勢いがあったのはベキ生存説だった。前作で乃木が急所を外して撃つ技量を見せていたこと、三つの骨壺の中身が説明されなかったことが根にある。第12話まで見ても、公式が触れた『脱獄』は前作で銃撃される前の逃走を指す。銃撃後の生存はまだ確認できない。
一方、新庄黒幕説と黒須の意図的潜入説は慎重に分ける必要があった。新庄は公安に所属しながら、ノコルの指示で前作のベキ逃走を手伝っていた。ただ、5人同時拉致を単独で動かした証拠はない。黒須も監視カメラを見落とすはずがないという疑問から疑われたものの、襲撃時の激しい抵抗をすべて芝居とみなすには無理がある。
第11話を見終えても、拉致の核心は残った
第11話で分かったのは、新庄が前作のベキ逃走を手伝っていたこと。そしてハヤトが、別班員の拉致にも新庄が関わった可能性を示したことだ。ただし、過去の逃走を助けた人物と、今回5人の拉致を命じた人物が同じだとは、まだ分からない。
第11話をいま見直すなら、探すべきは『新庄の痕跡』だけではない。標的の共通点、わざわざ生け捕りにした理由、地図上に残した形、そしてアリがキプロスにいた事情。この四つが一本につながったとき、初回の拉致はようやく事件の全体像を語り始める。
出典・参考
本編と公式情報を事実確認の軸にしています。報道や個人の考察は、説の広がりを知るための参考として扱い、確認できた事実とは分けて記載しました。