TBSが続編の放送決定に合わせて公開したスペシャルムービー『VIVANT NEXT TO YOU』の教室シーンで、黒板の日直欄に「新庄」「東条」と並んでいる。ここから、二人は幼いころからの知り合いであり、東条の不可解な振る舞いは旧友をかばう私的な動機で説明できる、と読む説が広がった。
材料そのものは本物で、公式が放送前に置いたという点も軽くない。ただし本編は二人の関係を一度も語っておらず、俳優の年齢差という具体的な引っかかりも残る。関係があるかどうかと、裏切っているかどうかは、分けて数えたい。
材料不足 / 検証中
- 名前が並んでいたのが「日直」の欄だという点が効いている。日直は同じ教室で順番に回す当番で、二つの名字が同じ日に並ぶなら、同じクラスの名簿を意味する
- 動画が公開されたのは続編の放送決定に合わせた時期で、東条の言動が疑われ始めるより四カ月ほど前にあたる
- デイリースポーツとスポニチアネックスがそれぞれ記事にしており、SNSの一時的な盛り上がりだけでは終わっていない
- これまで東条を疑う材料は動機の説明を欠いていた。旧友をかばう筋なら、東条が思想の面でテント側へ回る必要がない
- 新庄を演じる竜星涼は1993年生まれ、東条を演じる濱田岳は1988年生まれで、五歳ほど離れている。役の年齢が俳優と同じとは限らないが、同じ教室に座らせるには埋めにくい差だ
- これは本編ではなく放送前のプロモーション映像で、写り込んだ小道具を本編の設定として扱ってよいかを公式は何も言っていない
- 撮影現場では、背景の黒板や掲示物に出演者やスタッフの名字を書き込む遊びが珍しくない。デイリースポーツ自身も、伏線か遊びかは不明だと結んでいる
- かりに二人が旧友でも、それは関係があるという話でしかなく、裏切りの証明にはならない
「日直」の二文字が、偶然を偶然でなくする
同じ画面に二つの名字が写っていた、というだけなら見なかったことにできる。どちらもありふれた名字だし、教室の黒板はもともと文字で埋まっているものだ。それでもこの説が広がったのは、名前が並んでいた場所が日直の欄だったからだ。
日直は、同じクラスの出席番号を順に回していく当番だ。二人の名前が同じ日の欄に並ぶということは、同じ教室の名簿に二人がいたことを意味する。背景を埋めるだけなら他にいくらでも書く場所がある中で、よりによってこの欄が選ばれている。そこに気づいた瞬間、偶然という説明が急に弱くなる。
四カ月前という時期は、何を保証して何を保証しないか
この動画が出たのは続編の放送決定が発表された時期で、第12話を見た人が東条の様子をおかしいと言い始めるより、ずっと前だ。話題になってから慌てて用意されたものではない。後出しの材料ではない、という点はまず押さえておきたい。
ただし、時期の早さは「意図して置かれた」ことまでは証明しない。撮影は放送前にまとめて行われるのだから、現場の遊びで書いた名前も同じように早い時期のものになる。早いことは伏線であるための必要条件ではあっても、十分条件ではない。
埋まったのは動機の穴で、証拠の穴ではない
この説に納得感があるのは、東条を疑う材料がこれまで動機を欠いていたからだ。ベキを「ベキ様」と呼んだこと、部屋にあったタイガーマスク。どちらも引っかかるが、東条がなぜテント側に立つのかを説明してくれない。旧友をかばう、あるいは旧友を通じて弱みを握られている、という筋なら、思想の話を持ち出さずに済む。
とはいえ、動機が用意できたことと、実行の証拠があることは違う。新庄との連絡記録も、監視映像を差し替えたアクセス記録も、まだ出ていない。関係があるかを追う欄と、裏切ったかを追う欄は、別々に持っておきたい。
同じ材料が逆を向く可能性も残しておく。旧友であることは東条を疑う理由にもなるが、新庄の逃げ方を最も正確に読める人物という理由にもなる。野崎が東条を新庄の追跡に就けたとき、どちらの顔が出るのかを見たい。
この説はどう動いたか
続編発表記念ムービーの黒板を扱った報道を受けて公開。関係の有無と裏切りの有無を分けて追うことにした。
出典・参考
本編と公式情報を事実確認の軸にしています。報道や個人の考察は、説の広がりを知るための参考として扱い、確認できた事実とは分けて記載しました。