東条の口から出たのは「ベキ」ではなく「ベキ様」でした。公安の捜査へ協力する人物が、かつてテントを率いた男へ使う呼び方としては引っかかります。ただ、一語の違和感は、一語分の証拠でしかありません。
なぜ『様』だったのか
敬意が漏れたと考えれば、東条をベキや新庄の側へ置く説が成立します。新庄も前作でベキへ強い忠誠を見せていて、二人の感情が同じ方向を向いているようにも見えます。
ただし、呼称は引用や皮肉でも変わります。場面の前後を確認せず、敬称だけで所属を決めることはできません。
敬称は、本人が意識しないところで出ます。だから引っかかりとして強いです。頭で選んだ呼び方より、口が覚えている呼び方のほうが、立場を映してしまいます。
そしてこれは、公安の捜査に協力している人の口から出ました。場所の問題でもあります。同じ言葉を別の場所で聞いたなら、ここまで気にしなかったと思います。
次は言葉ではなく記録を見る
見るべきは記録です。東条が内通しているなら、空港の監視映像、パスポート情報、新庄の位置情報のどこかへ、アクセスの跡が残るはずです。
「ベキ様」はその記録を探す理由にはなりますが、記録の代わりにはなりません。今後の会話でも同じ呼び方を続けるのかにも注目します。
記録が出るまでは、この呼び方を手掛かりの箱へ入れておきます。入れたこと自体を忘れないのが、長く続く考察では案外むずかしいです。
一語で人を決めないための置き方
「ベキ様」は記録を探す理由にはなりますが、所属の証拠にはなりません。わたしがこのページを一語ぶんの引っかかりとして置いているのは、そのためです。
第15話まで進むと、東条は野崎に過去を握られて指示へ従っていたと分かります。そうなると、この呼び方の意味もまた変わります。忠誠なのか、刷り込みなのか、立場の残り香なのか、まだ決められません。
一語の違和感は、捨てずに残しておくと後で答え合わせができます。消してしまうと、当たっていたのか外れていたのかも分からなくなります。
言葉は人を追い詰めるには弱く、覚えておくには十分です。この一語は、そういう置き場所に合っています。
この場面の出来事
- 東条はノゴーン・ベキを「ベキ様」と呼びました
- その呼び方を乃木が耳にしました
- 第12話では新庄側に高い技術を持つハッカーがいる可能性も浮上しました
出典・参考
本編と公式情報を事実確認の軸にしています。報道や個人の考察は、説の広がりを知るための参考として扱い、確認できた事実とは分けて記載しました。