第22話で、黒須たちを乗せた2機がゴルバド領空を抜けるまで、AIハヤトは残り10秒と伝えました。太田がアゼルバイジャン領空への進入を確認した後、櫻井は目を閉じ、右手を上げます。救出の途中では表情を崩しませんでした。なぜ櫻井は、2機とも国境を越えるまで喜ばなかったのでしょうか。
右手が上がるまで、10秒待った
第22話でAIハヤトは、2機がゴルバド領空を抜けるまで残り10秒だと伝えました。太田が2機ともアゼルバイジャン領空へ入ったと確認すると、櫻井は目を閉じ、右手を上げます。城を出た時でも、飛行機が離陸した時でもありませんでした。
放送後、この小さなガッツポーズには、いつも冷静な司令の本心が見えたという反響が集まりました。わたしが気になるのは、喜びそのものより、そこまで待った時間です。櫻井は2機がゴルバド領空を抜けた報告を受けて初めて、救出を自分の感情へ通しました。
第17話で、同じ5人を切る判断をした
第17話の櫻井は、黒須たち5人の奪還を断念し、食事へ毒を入れる方針を示しました。救出に向かった隊員まで拘束されれば、さらに機密が漏れるという判断です。その後、乃木がテント側の戦力を加えた代案を持ち込むと、作戦の続行を認めました。
第22話の右手を見ても、毒殺方針まで本心ではなかったとは言えません。櫻井は組織を守るためなら、5人を切る命令を出せる司令です。だからこそ、途中の好転では喜べなかったのだと思います。自分が死なせる覚悟をした5人を、2機とも国境の外へ出すまでは、命令を覆した責任が終わったとは思えなかったのでしょう。
AIの秒読みの後で、人間の感情が見えた
第17話では、AIハヤトが救出の見込みを示し、その結果を受けて司令部が奪還断念へ傾きました。第22話では同じ声が、2機の越境までの秒数を数えます。どちらの場面でも、AIは状況を知らせますが、仲間を切る苦しさも、戻った喜びも引き受けません。
制作側は、AIを置くことで人物の感情を浮かび上がらせたと説明しています。第22話では、その狙いが櫻井の右手に凝縮して見えます。ハヤトの秒読みと太田の確認が任務の終点を示した後、櫻井は数値の裏に置いてきた5人への思いを、言葉より先に身体で表しました。
喜びは、救出の責任を終える合図だった
わたしの答えは、櫻井が救出の成功を、5人を城から出した時ではなく、2機ともゴルバド領空の外へ出した時に置いたからです。一人でも連れ戻される余地がある間は、司令の仕事を終えなかったのだと思います。あの右手は勝利の誇示より、5人を死の側へ置く判断から連れ戻せた安堵に見えます。
しかし、喜べた時間は長くありません。第22話の終盤、櫻井は乃木家へ行けば薫に別班の正体が知られると伝えたうえで、乃木を向かわせました。今度は組織の秘密と薫たちの命が同じ秤へ載ります。第17話では機密を守るため仲間を切ろうとした司令が、ここでは正体露見の危険を受け入れて人を先にしました。
第22話を見返すなら、ガッツポーズの大きさより、その直前の10秒を見たいです。第23話では、乃木が敵の前へ出た瞬間より、櫻井がどこまでを救出の完了と呼ぶかが気になります。薫、ジャミーン、乃木が自分で次を選べる場所へ戻るまで、今度も喜びを待てるでしょうか。
この記事の要点
- 第22話の櫻井は、2機がアゼルバイジャン領空へ入った確認後に初めて右手を上げました。
- 第17話では同じ5人の奪還を断念し、機密を守るための毒殺方針を示しました。
- ガッツポーズは、一度は切る判断をした5人を司令の責任でゴルバド領空の外へ出せた安堵だと読みます。
出典・参考
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