第17話の劉は、円周率の「9」を中国式の片手で示しました。第19話でプリシャの年齢を数えた時は、同じ「9」を両手で作っています。顔が同じ乃木との入れ替わり説が生まれる差ですが、わたしは正体が替わった証拠より、劉の中にある二つの所属が手へ出た場面として読みます。
「9」だけが別の手になった
第17話で劉は、二つの送金額へ円周率を掛ける解法を野崎へ示しました。その時の「9」は、人さし指を曲げる中国式の片手の形でした。中国では6から10も片手で示せるため、Xinxiで育った劉の身ぶりとして自然に見えます。
第19話では、7年前に2歳だったプリシャの現在の年齢を数える際、劉は両手で「9」を作りました。同じ数字だけが別の手になったため、同じ顔の乃木と劉を見分ける手がかりではないかという説が生まれました。顔が役に立たない二人だからこそ、指の癖を身分証のように見たくなります。
入れ替わり説には、移動の空白が足りない
入れ替わり説が気になる理由は、指だけではありません。劉は長春へ10日行くと告げながら、一日早く野崎の前へ戻りました。第19話では尋問室の扉を鎖で閉ざし、カメラと通信を切っています。誰にも聞かれない時間を野崎と作った動きは、乃木の潜入を想像させます。
ただし、違う手の形は交代の痕跡であっても、交代の手順にはなりません。乃木はノコルたちと別班奪還を進め、劉はXinxiで核融合チームの責任者を求めています。二人の移動や変装をつなぐ場面がないままでは、指の違いから乃木が尋問室にいたとまでは進めません。
二つの数え方は、劉の二つの所属に重なる
第19話の劉は、日本で生まれ、中国で生まれ育ったエリート諜報員から差別されたと樊へ訴えました。五歳からXinxi側の工作員として育てられても、生まれた場所との切れ目は消えていません。中国式の片手と、両手で足して作る「9」は、その二つの生活圏に重なります。
わたしは、手の違いを人物交代より、劉自身の所属が一つに定まらない表現として読みます。第17話の尋問では、中国式の数字を使う諜報員として野崎を追い込みました。第19話では、日本生まれゆえに低く扱われた自分を語り、組織の中心へ入る席を求めました。同じ人物が、相手と目的に応じて違う自分を前へ出したと考える方が、これまでの行動につながります。
次に見るのは、手より相手の選ばせ方
わたしの暫定的な答えは、二つの「9」だけでは乃木との入れ替わりを示せないというものです。それでも見返す価値はあります。劉がどの場所で覚えた振る舞いを、誰の前で選ぶ人物なのかが、指の形から見えてくるからです。
第19話の劉は監視を切りましたが、野崎を閉じ込めた扉の鎖までは外しませんでした。秘密を渡した可能性と、相手の自由を握り続ける支配が同じ場面にあります。第20話では、劉の手より、野崎が自分と違う道を選んだ時に出口を開けるかを見たいです。そこで初めて、劉が乃木と入れ替わったかではなく、乃木とは違う方法で人を救える人物へ変わったかを判断できます。
この記事の要点
- 第17話の劉は中国式の片手で「9」を示しましたが、第19話では両手で同じ数字を作りました。
- 一日早い帰還と監視遮断は入れ替わり説を誘いますが、乃木との交代や移動を示す場面はありません。
- 日本生まれでXinxiに育てられた劉の身ぶりは、人物交代より、二つの所属を使い分ける不安定さを映したと読みます。
出典・参考
本編と公式情報を事実確認の軸にしています。報道や個人の考察は、説の広がりを知るための参考として扱い、確認できた事実とは分けて記載しました。